メイコの思考が駄目なお話

メイコ好きに優しくないお話


メイコはミクの事を買い被っていればいいと思う

ミクはメイコのことを必要以上に尊敬していればいいと思う

Let me do as he likes.




リンに火をつけようと思っただけだ。
リンがミクを本気で追いかければ、きっとルカはリンから目をそらす。

私がミクに手を出したら、リンはきっと…

彼女の気持ちを利用しようなんて…いや、少しは思ったかもしれない。
でも、分かってる。

ミクが私に抱くのは、恋じゃない。
ただの憧れだ。
シンガーとして慕ってくれている。
ただそれだけだ。

私は欲望に忠実なだけ、好きで誰かを傷つけているわけじゃない。

泣いてくれた方が、よっぽど良かった。
最低だと、嫌いだと。罵ってくれた方がどれだけ楽になれたことか…
非難されるべきは私なのに。
そんな風に微笑まれたら、まるで罪が肯定されたような気になってしまう。
それとも、人の想いを軽く扱う者に対しては、罰を受けることさえも許されないというのか
罪を受け止め、頭を垂れる術さえも与えられないのか。


肩の骨から鎖骨までを、人差し指でそっと撫でてみる。
ミクはじっと、私の行動を見守っていた。
少しの恥じらいを残して、それでも冷静に、自分がされていることを見つめていた。
そんな彼女の目を、私は見返すことが出来なかった。

何故私は、見ているだけで我慢できなかったのだろう。
侵してはいけないものを踏みにじりながら、私はまた罪に罪を上塗りする。

ルカよりもずっと小柄な乳房を、なるべく優しく包む。
細い体のその震えは、快感か、それとも緊張か。
掌に伝わる鼓動が、解答は後者だと告げる。

装いがどんなに冷静でも、やはり緊張くらいするということか…


私がミクの部屋に夜這いにいったとき、時刻はまだ二桁に突入したばかりだった。
すっかり忘れていた。
異様に早い、彼女の就寝時間。
就寝が早ければ、やはり起床も早い。
そんなに早く起きて、一体何の得があるのかは知らないが、今のところ、誰一人として彼女より早く起床した者はいない。

だから、そんな時間に扉を開けて、まさか中が真っ暗だとは予測してなかった。
こっそり手首を縛り、こっそり服を脱がしている時も、彼女の瞼は閉じたままだった。。
脱がし終わってはじめて、ミクが起きていたことに気がついた。

本当に不思議な子だ、ミクは。
部屋を見渡してみれば、目に入るのは名前も知らないものばかり。
年相応に子供で、年相応に大人びて。

それでいて、大人でも出来ないような、全てを悟った顔をする。

けして他人を否定しないかわりに、けして進んで自己を主張したりしない。
彼女は自分の世界をしっかりと確立していて、自分でその世界を守っている。
不思議な子だ、ミクは。

彼女の魅力に惹かれるものも少なくない。
リンだってその一人だ。
ただ…彼女の場合は憧れだけじゃ、気持ちの大きさが抑えられなかったが…


「…するの?」
寝起きとは思えないほど、はっきりした口調でミクは私に問うた。

「…聞かせればいいの?」

誰にとは聞かない。
何も言わない私に、ミクはほほ笑んで見せた。
かろうじてうなずいた私に、彼女はまた一言だけ投げた。
「どうぞ」


人の感情を読むことに長けている。
私にはない、羨ましい才能。

胸の頭頂に触れると、ミクは深呼吸をするように、大きく息をした。
吐き出した息が震えるのが分かる。
控えめな胸の頭頂で息づく蕾は、彼女を幼く、そして淫靡に見せる。

舌で触れると、慣れない感覚のためか、呼吸がさらに乱れた.
口の中で乳首を転がしていると、頭上から小さな声が聞こえた。
「メイコ…くすぐったぃ」
「くすぐったいところは性感帯だから…いずれ慣れるから、大丈夫よ…」
何が大丈夫だ…
言い訳のように呟きながら、手を太ももに這わせる。

太ももを撫でながら、肋骨、お腹、へそへと順にキスを落としていく。
抵抗なく開かれた長い脚を肩にかける。

予想していた通り、彼女のそこはあまり濡れていなかった。
「んぅ…っ」
一瞬引いた腰を、しっかりと捕まえる。 突起から入り口あたりを、舌で何度も往復させていく。

「は、あぁ…あ!」
徐々に濡れてきた膣に、精一杯のばした舌を差し込む。
慣れない快感に肢体をこわばらせる様子は、年相応な恥じらう少女だった。
今思うと、やはりルカは、抱かれ慣れた女の反応だった。

私が組み敷いている少女は、まだ快感を逃す術も知らない。

「あ、ん…ぁ、メイ、コ」
思わず差し込んでいた舌を引き抜いてしまう。
彼女が怪訝な瞳をこちらに向けた。

無理やりルカを襲った時、そういえば、名前呼んでもらえなかったな。
…あたり前か…

彼女は肩で息をしたまま何も言わない。
ふと、目があった。
翡翠色に見つめらた途端、罪悪感が鉛のように圧し掛かって、彼女の目が見れなくなった。
顔を隠すように、彼女の首筋に唇を寄せると、懐かしい匂いがした。
右手の中指を、蜜で充分に濡らすと、ゆっくりゆっくり、彼女が驚かないように膣に埋めていく。

「はぁ…ん…ああ…」

最後まで入りきった彼女の中は、驚くほど熱かった。
「はぁ……っん……あぁ……メ、イコ」

ねぇ、リン…聞いてる?
早くしないと、ミク、私が貰っちゃうよ

ルカが”Shining”と表現した金色を思いだす。
あの時の私には、ルカの笑顔の方がよっぽど輝いて見えた。

ミクの声に切羽詰まったものを感じて、埋めた指を強く動かす。
「あ、ん、あ……ああっ!」
きゅうっと指が締め付けられるのを感じながら、私はそっと彼女の耳にささやいた。

「…ごめんね」


「…メイ、コは…」
「…ん?」

肩で息をする彼女から体を離す。
一瞬見えた、寂しそうな瞳は私の見間違いだろうか。

「あたしが…リンちゃんのこと捕まえておけばいいんだよね」
「え?」
「大丈夫…ルカは大丈夫」

返事をしない私を横目に、ミクは服を着始めた。
ミクが…ルカがなに?

彼女がすっとこちらに手を伸ばした。
私に向かっていると思ったその手は、ベッド下に落ちていたタオルケットを拾い上げただけだった。

翡翠色の瞳が細められて、綺麗な微笑みをつくる。
やはり、その色はどことなく寂しくて…

「だいじょうぶ」
もう一度呟かれたその言葉は、いったい誰に向けられた言葉なのだろう。

ごめん、ともう一度言おうとして、やめた。

「器用に、笑うのね」

――…メイ、コは…

その先に続く言葉を、私は知りたいようで、でも、少し怖い気がした。






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