ソファにルカが転がってたら、わたしだったらそのまま頭から喰う←

ルカ視点

Come,lady,die to live




意味が分からない。
本当に、まったくもって、何一つ
なんでメイコがここにいたのか、なんでメイコはあんなことをしたのか
いまだ震える手を、唇まで持っていく。
すごく、熱かった。溶けてしまうかと思った

分からない
大きく律動する心臓が、一番意味が分からない。

私は、この家の人たちが苦手だった。
外部からやってきた私を、何の邪気もない顔で迎え入れて…
まるで、もともと家族だったかのように、私に接して私に触れる。
でも、それも数カ月もすれば慣れる。
年下の子たちがすり寄ってきても、自分のモチベーションで接すればよい。
私には私のテリトリーがある。
家に慣れても、馴染むことは出来なかった。
なかでも彼女。

どんなに突き放しても、気がつけばするりと私の世界に入り込んでくる。
かと思いきや、またふらふらとどこかへ行ってしまう。

予測不可能。

勝手に自分の都合で構ったりいなくなったりするくせに…
たまに気まぐれを起して、彼女に乗ってみたりすると心底嬉しそうな顔をするのだ。
私より大人のくせして、子供みたいな笑顔を浮かべる。

ソファに身を横たえたまま、暴れる心臓を何とかしようと深呼吸。

吸って…はいて…吸って…
無音に耳を傾ける。

夜、住人が寝静まった家。
誰もいない静かなリビングが私は好きだった。
日中賑やかなここは、夜になると一転静けさが訪れる。
無音という音が聞きたくて、私は度々、夜中にリビングを訪問した。

今夜が偶然その日だった。
あまりの心地よさに、ふかふかのソファでまどろんでしまったのがいけなかった。
いっそのこと、扉の音なんかで覚めないくらいの深い眠りについていればよかった。
それか、ばっちり目を開けて、彼女を迎撃してやれば良かったのだ。

なんで寝たふりなんてしたのだろう。
なんで…
何故何故何故何故…

なんで、私なんかが、たった一度のキスごときでドキドキしなければいけないのか。
彼女の行動は意味が分からない
けど、ドキドキの理由なら…

分かっているのだ、理由は。

明確だ。

優しくて、熱くて…そして少し震えていて…
まるで、初めて自分からキスをする少女のようで…

勘違いしてしまいそうだった。
彼女は私の事が好きなのではないだろうか、とか…

なんて滑稽な勘違い。
そんなことは端から承知だ

彼女の気まぐれ。
きっと、少し酔っていたに違いない。
触れたときに、かすかに香ったアルコール。

髪をさわる優しい手つきも
…触れた唇の熱さも…すべて、彼女の気まぐれ勘違い。

猫みたいなのは私じゃない。
メイコのほうがよっぽど猫みたいじゃないか


全部全部、猫みたいなメイコの気まぐれだ。
私が彼女の事を好きかも知れないなんて、全部勘違いだ。

彼女なんて…メイコなんて、大嫌いだ。







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