リンミク

いわゆる憧れと恋をさまよう話(うそ←)

二次創作っぽい文章を書こうその2

それでね




ミク姉のことはあたしが守るって。
あたし、宣言したのに。

マスターの初めてのボーカロイドは、あたしたち鏡音で、そのあとにメイ姉がいて。
それで、最後にきたのがミク姉で。
あたしより稼働時間も長くてお姉さんだってこと、そんなのとっくに知っていたから。
だから、初めて顔を合わせた時、まさか泣かれるなんて思ってもいなかった。

もともと白い肌を、緊張でさらに白くして、寒くもないのに細い肩をカタカタと震わせて。
マスターの後ろに隠れて泣いてた。

マスターの影からゆらゆらと踊るグリーンの髪を見ながら、この人はあたしが守ってあげなきゃって…


あたしはただ、ミク姉の騎士になりたかった。
ミク姉が一人で泣くようなことがないように、あたしが守ってあげたかった。

恋の意味すら知らないガキだったあたしは、自分が恋をしているなんて気付けないまま彼女を守っているつもりでいた。
自分が何に怯えてるのかすら、わかっていなかった。

要は嫌われるのが怖いんでしょ、あんたは。
メイ姉に言われてはじめて、指先ひとつ、ミク姉に触れることの出来ないあたしを知った。
自分から触れて、拒まれることが嫌だった。
怖かった。
自分の本当の気持ちを、自分で気づくことが怖かった。


なんでリンちゃん、あたしのこと避けるの…
そういって、泣いたミク姉をみて、出会った瞬間から、あたしは恋に落ちていたことを知った。
あたしが守るって、誓ったのに。
結局、あたしはミク姉を泣かせてる。
姫に触れることも出来ない騎士なんて…


ごめんね、避けてるわけじゃないよ。
ぐずぐずと、目の前で泣きべそをかいている姫に向かって手を伸ばす。
のばされた右手は、やっぱりあと5センチのところで下に落ちて行くんだ。
あーぁ、なさけない。

あたしがもう少し大人になって、ミク姉に触れられるようになったら言おう。
好きってちゃんといおう。
大好きって目をみて言おう。


目の前のお姫様にそっと、優しく、怖くないように話しかける。
「ごめんね、ミク姉のこと避けてるわけじゃないよ」
泣きべそをかいたまま顔をあげたミク姉の鼻は、やっぱり真っ赤で…

意を決して、右手をもう一度のばしてみる。
あと5センチを突き破って、濡れた頬をぬぐった。
結局、涙を吸い取ったのは、あたしの服の袖だったけれど。
あーぁ、なさけない。
やっぱりまだ、直接は触れないのね。

「…あのね」
今年のクリスマスパーティー、ミク姉の役はトナカイできまり。
鼻水垂れてるよ、お姫様。
「ミク姉、泣き虫だからあたしが守ってあげる」
前は、宣言だった。
ミク姉を守るって、宣言した。
でも今度のは、ちゃんとミク姉の目を見て言ったから。

だから、今度はちゃんと約束するよ。
あたしが、ミク姉を守ってあげる。


ねえ、あたし、ミク姉のこと好きなんだって。








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