10000打企画


二人の関係が甘いんだもの、コーヒーは苦めのブラックでいいじゃない

朝ごはん作っておいたから




雰囲気もなにもあったもんじゃないメイコの言葉。
絶対わざとだ…

未だにゲラゲラと笑っているメイコに不意打ちでひとつ、キスを落とす。
吃驚しているメイコの顔に、用意していた服を押し付けた。

「朝ごはん出来てますから…それ着て早く起きてください」

赤くなっているだろう顔を見られないように、とっとと寝室から退散する。
ワンテンポ遅れて、大きく吹き出すメイコの声が聞こえた。
本当に…いつまでたっても敵わない。

服を着たメイコは、しっかりとセクハラしてそのまま洗面所にいった。
寝室から洗面所に行った方がはやいのに…ご苦労なこと…
お尻に残る手の感触に苦笑する。

「オヤジくさい…」
そんなのに惚れたのは私だけど…
仕方ないなぁ、そんな万能の一言で、また朝食の準備に戻る。

温めなおすだけの作業。
BGMは洗面所から聞こえる水の音。
普段よりも遅めの朝に、休日万歳とかわけのわからないことを考える。

部屋中のカーテンを開けながら、メイコが戻ってくる。
薄暗かった部屋が朝日に照らされて、一瞬で光に包まれた。
良い天気。

「いいねー、マフィン?」

机に並んだ朝食に、くんくんと鼻をならす。
犬みたい。
柴っぽいな…

そんなことを思われてるなんて微塵も思ってないだろうけど…
行儀よく椅子に座りながら、ルカー!コーヒー!などと騒いでいる。

「お砂糖とミルクは自分でいれてくださいね」
「はーい」

お手ってしたら、やってくれるかな…やらないけど。
ことりと音をたててマグカップを置く。
色違いの二つは、いつだったかメイコが買ってきてくれたもの。
そういうとこ、意外と乙女。

見る人がいないのに、つけっぱなしのテレビが陽気な音楽を垂れ流す。
お天気お姉さんが、今日の天気を告げる。
“今日は気持ちのいい日差しが…”……そうでしょうね。

ちらりとメイコの顔を見ると随分と楽しそうに、目玉焼きにマヨネーズをかけている。
そんなにマヨネーズが好きか…単に別のことを考えているのか…
私のことを考えてくれていたら良い、なんて私だってじゅうぶん乙女。

「かけすぎですよー」

そう言って取り上げる。
返してー、なんて言ってるけど、その顔はやっぱり楽しそうだから私も幸せになる。
返してあげないけど…

マヨネーズをメイコの手の届かないところに避難させながら、少しさめてしまったコーヒーを啜った。






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